雲居の神子たち
「稲早様。お食事です」
宿舎に戻ったところで、ばあやが障子越しに声をかけた。
使用人たちが入れるのは宿舎まで。
最低限の世話はしてくれるが、いつも神官たちの目が光っていて勝手なことはできない。
障子が開いて、善にのったおかゆが差し出される。
「ありがとう」
本当は文句を言いたいけれど・・・言えない。
こんな風に罰を受けた日には、私だけではなくばあやや使用人たちも同じ物を食べているのを知っているから。
「ばあや、ごめんね」
「稲早様。気になさらないでください。私は平気ですので」
笑顔を向けるばあや。
こんな時は、泣きたい気持ちになる。
私が寝坊さえしなければ・・・
おかゆに漂う米粒を見つめながら、私は手を合わせた。
「いただきます」
不満はある。
でも、不満を言う前におかゆを食べられることを感謝する。
それは8年かけて教えられたこと。
宿舎に戻ったところで、ばあやが障子越しに声をかけた。
使用人たちが入れるのは宿舎まで。
最低限の世話はしてくれるが、いつも神官たちの目が光っていて勝手なことはできない。
障子が開いて、善にのったおかゆが差し出される。
「ありがとう」
本当は文句を言いたいけれど・・・言えない。
こんな風に罰を受けた日には、私だけではなくばあやや使用人たちも同じ物を食べているのを知っているから。
「ばあや、ごめんね」
「稲早様。気になさらないでください。私は平気ですので」
笑顔を向けるばあや。
こんな時は、泣きたい気持ちになる。
私が寝坊さえしなければ・・・
おかゆに漂う米粒を見つめながら、私は手を合わせた。
「いただきます」
不満はある。
でも、不満を言う前におかゆを食べられることを感謝する。
それは8年かけて教えられたこと。