雲居の神子たち
***side尊


「どういうことだ?」

自分でも剣呑な声になった自覚がある。
いつもなら、こんなに感情を表に出すことはないのに。

その理由は簡単なこと。
稲早の消息が途絶えてしまったからだ。
俺についている影たちはとても優秀で、いつもなら俺の先を予想して行動してくれる。
間違っても「わかりません」なんて答えを聞くことはない。
しかし今回は、

「申し訳ありません。稲早様が今どこにいらっしゃるのか、その所在がわかりません」
問いただす俺に、頭を下げた。

「わからないでは困るんだ。すぐに探してくれ」
冷たく言い放つ俺。

わがままな子供のような言い草だと自分でも思う。
それでも、今は稲早の安否を確かめることが優先だ。

俺の命をうけ、影たちは目の前から気配を消して散った。
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