雲居の神子たち
魔導士との対決
女の手によって、髪や体に塗っていた白粉はきれいに拭き取られてしまった。

「真っ白だねえ」

着ていたものを脱がされた私を見て、女は感嘆の声を上げる。

そういえば、先ほど女につけられた傷はきれいに消えている。
瘡蓋どころか跡もない。
やはりこの女には不思議な力があるんだ。

「早速だけれど、神子様の命を少しだけ分けてもらうからね」

そういうと女は私の腕に刃物を当てた。

ザクッ。

痛いっ。

先ほどのようにナイフを滑らせるのとは違い、まっすぐ腕に突き立てられた。
激痛が全身を走り、傷口には火をつけられたような感覚。

イタイイタイ、痛い。

本当はのたうち回りたいのに体は動かない。
それでも痛覚は普段のままで、痛みに変わりはない。

ザクッ。

一旦ナイフを抜いた女が、もう一度ナイフを刺した。

あああぁー。
声が出るなら大絶叫していただろう。

まさに、地獄。
生き地獄ってこういうことを言うんだわ。
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