雲居の神子たち
そこは古ぼけた建物。
ただ大きいだけで誰も住んでいる様子はない。

まあ、隠れるには最適な場所かもしれない。
ここなら誰に見られることもなく志学と合流できる。

「ところで、須佐はどうして尊と一緒にいたの?」
移動のため尊に抱えられていた私は気になって聞いてしまった。

女の屋敷に三人が現れた時から思っていた、なぜ須佐がいるんだろうと。
八雲が私を探してくれていたのは知っているから、須佐だって心配して探しに出てくれたんだろうとは思う。
でも、あの魔導士の家にいることがどうしてわかったんだろう。

「お前がいなくなって、町中を探し回ったんだ」
「町中を?ずっと?」
「ああ。何も手掛かりもなかったからな、ひたすらお前の気配を探して回ることしかできなかった」

ふーん、気配ね。

「あの家の中から、お前の気配を感じ取った。だから忍び込んだ」
「へー」

「あまり上手に忍べてはなかったがな」
尊の突っ込み。

「それは・・・」
ㇺッとした表情で、須佐が尊をにらんでいる。
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