捨て猫は関西弁男子
「そうだ。そろそろ名前も決めないとね。」
何がいいかなぁ。
グレーのもの。
……んー。
「こんにゃく!こんにゃくはどう?」
この毛色はこんにゃく色にしか見えない。
我ながらいいネーミングセンスだとうなづくとどこからか「いや、こんにゃくはないやろ。」という声が聞こえた。
「え?」
気のせいだよね。
ここには私しか住んでいないし、声が聞こえるはずはない。



「もうちょっといい名前あるやん。」
再び謎の声が聞こえた。
ずいぶんと渋い声だ。
「え、それならつみれとかごま団子とか…?」
頭をフル回転させてグレーに関する他の候補をあげてみると「食べ物ばっかやな」と笑い声と共に先程と同じ声が聞こえた。
これは幻聴じゃない。



「ねぇ、あなた誰なの?幽霊?」
「幽霊やあらへん。猫や。」
「猫って…まさか」
うちいる猫なんてこの目の前の子猫しかいない。
「そのまさかやで。」
猫の口が声と同じ形に動いた。
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