江藤くんはループしがち
気がつけば、あたしの前にはお弁当箱。


お腹はペコペコで、里香が「食べないの?」と聞いてくる。


「食べるよ!」


あたしは半ばムキになってそう返事をして、大きな口でおかずをほお張った。


そんなあたしを見て里香は瞬きを繰り返したのだった。


「……なるほど、またループしてたんだね」


お弁当を食べ終えて、里香に簡単な説明をした後だった。


あたしは腕組みをして深いため息を吐き出した。


「今回は戻る時間が短くて、余計に難しいよ」


「そっか。でも、生徒手帳を落としたわけじゃないってことはわかったんだよね?」


「うん。そう言ってた」


もしも落としていれば、江藤くんのことだから真っ青になってたことだろう。


そんな様子も見られなかった。


「他に、なにか気がついたことはないの?」


里香に聞かれてあたしはうーんと腕組みをしたまま考えこんだ。


なにせ花粉のせいで頭には常にモヤがかかった状態だ。


思い出すまでに時間がかかる。
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