江藤くんはループしがち
「そうなのかも。真央ちゃんが死んで落ち込んでたけど、前を向き始めたってことだよね」
窓辺から聞こえてくる女子の黄色い声に顔をしかめ、あたしは答えた。
部活に入ったのだって、江藤くんが前に進んでいるという証拠になると思う。
それは悪いことじゃないのに、どうしてループするんだろう?
「あたしさ、前犬を飼ってたんだよね」
不意に里香が思い出話を始めた。
「なにそれ。今それ関係ある?」
今は江藤くんのループの原因を探すのが先だ。
しかし、里香は話を止めなかった。
「幼稚園から小学校5年生まで飼ってたの。名前はくぅちゃん。茶色の雑種犬でね、赤ちゃんの時に公園に捨てられていて、それを拾ってきたの」
里香の話にあたしは頭の中で茶色い雑種犬のくぅちゃんを思い浮かべていた。
「動物を飼うのは初めてだったから、毎日お世話したよ。一緒に散歩して、ご飯をあげて、一緒に眠って。くぅちゃんがあたしの兄弟みたいだった」
里香の表情は昔を懐かしむように穏やかだった。
「でも、小学校5年生の頃、くぅちゃんは死んだの」
「どうして?」
「たぶん病気だったんだって。7年間一緒にいたけど、人間で言えばもう老人で、だからいろいろな病気を持ってたのかもしれないって」
窓辺から聞こえてくる女子の黄色い声に顔をしかめ、あたしは答えた。
部活に入ったのだって、江藤くんが前に進んでいるという証拠になると思う。
それは悪いことじゃないのに、どうしてループするんだろう?
「あたしさ、前犬を飼ってたんだよね」
不意に里香が思い出話を始めた。
「なにそれ。今それ関係ある?」
今は江藤くんのループの原因を探すのが先だ。
しかし、里香は話を止めなかった。
「幼稚園から小学校5年生まで飼ってたの。名前はくぅちゃん。茶色の雑種犬でね、赤ちゃんの時に公園に捨てられていて、それを拾ってきたの」
里香の話にあたしは頭の中で茶色い雑種犬のくぅちゃんを思い浮かべていた。
「動物を飼うのは初めてだったから、毎日お世話したよ。一緒に散歩して、ご飯をあげて、一緒に眠って。くぅちゃんがあたしの兄弟みたいだった」
里香の表情は昔を懐かしむように穏やかだった。
「でも、小学校5年生の頃、くぅちゃんは死んだの」
「どうして?」
「たぶん病気だったんだって。7年間一緒にいたけど、人間で言えばもう老人で、だからいろいろな病気を持ってたのかもしれないって」