江藤くんはループしがち
次第に江藤くんのことを知っていって、胸がなんだか妙な動きをし始めて。


そして今、こうして会話できていることがすごく嬉しい。


「俺、サッカー頑張るから。応援しに来てくれよ」


そう言って江藤くんがズボンのポケットから取り出したのは、練習試合の日程表だった。


「これって……」


「緑川に来てほしくて、部員に配られたものをコピーしてきた」


あたしのため?


ドキンッと心臓が高鳴った。


そのまま早鐘を打ち始める。


そ、それって特別ってこと?


と聞く前に教室のドアが開いて数学の先生が入ってきた。


肝心なことが聞けなくて、あたしはキュッと唇をかみ締めたのだった。
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