江藤くんはループしがち
「それにさ、亜美と一緒にいると楽しいことが次々起こるもんね」


「そ、そう?」


それに関してはまったく自覚がなくて首をかしげる。


「そうだよ、覚えてないの?」


そういって里香が説明し始めたのは小学校5年生の頃の出来事だった。


『亜美、一緒に帰ろう!』


その頃から仲がよかったあたしたちは2人で通学路を歩いていた。


ちょうど梅雨の時期で、その日も大雨だ。


前日にも雨は沢山降っていて、ジメジメとしてパッとしない日が続いていた。


そのときだった。


あたしはなにか嫌な予感がしてその場に立ち止まっていた。


通学路の横には広い用水路が流れていて、転落防止のためにガードレールが設置されている。
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