江藤くんはループしがち
以前車がここのガードレールに突っ込んだことがあり、それからまだ直されていない場所だ。


『ちょっと亜美、どうしたの?』


そう聞く里香がなにかに気がつき、最後の方の言葉は消えていってしまった。


そして2人して用水路を覗き込む。


そこには犬が一匹おぼれていたのだ。


濁流に飲まれながらも、ゴミに引っかかって流されずにいる。


『大変だ!』


あたしと里香は同時に言い、近所の家に助けを求めた。


当時のことを思い出し、あたしは苦笑いを浮かべた。


確かにそんなこともあった。


「それにさ、中学にあがってからもそういうことがあったんでしょう?」


聞かれてあたしはうなづいた。
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