江藤くんはループしがち
尾行
生まれてきて14年。
誰かを尾行するなんて初めての経験だった。
あたしと里香はトイレから出てきた江藤君を尾行していた。
江藤君はそのまま教室に戻り、窓際で友達3人とおしゃべりを始めた。
あたしと里香は窓から外を見てるふりをして、4人の会話に耳をそばだてる。
会話はとても他愛のないものばかりで、昨日のテレビ番組とか、部活の様子などだった。
ループしている原因といえる会話は聞くことができなかった。
「相手はなかなか尻尾を出さないね」
体操着に着替えているとき、里香が難しそうな顔で言った。
「相手って、江藤君のこと?」
「当たり前でしょ?」
「そんな容疑者みたいな言い方しなくても」
あたしは苦笑いを浮かべる。
それに、尾行を始めてまだ1時間しかたっていない。
そのうち45分は授業時間だったから、なんの収穫もない。
今日は次の体育の授業で終わってしまうし、明日がんばったほうがよさそうだ。
「今日は男女混合の体育だし、絶対になにかつかまなきゃね!」
あたしの考えていることとは裏腹に、里香はやる気いっぱいでそう言ったのだった。
誰かを尾行するなんて初めての経験だった。
あたしと里香はトイレから出てきた江藤君を尾行していた。
江藤君はそのまま教室に戻り、窓際で友達3人とおしゃべりを始めた。
あたしと里香は窓から外を見てるふりをして、4人の会話に耳をそばだてる。
会話はとても他愛のないものばかりで、昨日のテレビ番組とか、部活の様子などだった。
ループしている原因といえる会話は聞くことができなかった。
「相手はなかなか尻尾を出さないね」
体操着に着替えているとき、里香が難しそうな顔で言った。
「相手って、江藤君のこと?」
「当たり前でしょ?」
「そんな容疑者みたいな言い方しなくても」
あたしは苦笑いを浮かべる。
それに、尾行を始めてまだ1時間しかたっていない。
そのうち45分は授業時間だったから、なんの収穫もない。
今日は次の体育の授業で終わってしまうし、明日がんばったほうがよさそうだ。
「今日は男女混合の体育だし、絶対になにかつかまなきゃね!」
あたしの考えていることとは裏腹に、里香はやる気いっぱいでそう言ったのだった。