江藤くんはループしがち
☆☆☆
2月5日。
ループしてから5日目の朝だった。
朝の10時頃、あたしと里香は制服姿で家を出た。
式場の場所は昨日江藤君から聞いていて、2人でバスで行ける距離だとわかっていた。
両親が車を出すと申し出てくれたけれど、里香と2人で話したいこともあったから、断ったのだ。
「明日の朝になって、またループするかどうかだね」
バスに揺られながら里香が真剣な表情で言う。
「うん。江藤君の心残りがなくなっていればループしないはずだけど、わからない」
あたしはそう返事をして左右に首を振った。
この5日間でどうにか江藤君と普通に会話できるくらいにはなったけれど、その実なにかが変わったようにも感じられなかった。
今まで経験してきた2月3日から2月7日までをなぞっただけ。
「もし、もし、だよ?」
里香が前置きをしてあたしを見つめる。
「江藤君の心残りが妹さんの死にあったら、どうなるの?」
「それは……」
あたしは返事に困って口ごもってしまった。
その可能性はとても高いと思う。
だけど、人の生死なんて操ることはできない。
事故や事件ならまだしも、真央ちゃんは病死だ。
余計に操ることのできない命だった。
「また、ループしちゃうのかな」
里香は窓の外に視線を移動させて、小さな声で呟いたのだった。
2月5日。
ループしてから5日目の朝だった。
朝の10時頃、あたしと里香は制服姿で家を出た。
式場の場所は昨日江藤君から聞いていて、2人でバスで行ける距離だとわかっていた。
両親が車を出すと申し出てくれたけれど、里香と2人で話したいこともあったから、断ったのだ。
「明日の朝になって、またループするかどうかだね」
バスに揺られながら里香が真剣な表情で言う。
「うん。江藤君の心残りがなくなっていればループしないはずだけど、わからない」
あたしはそう返事をして左右に首を振った。
この5日間でどうにか江藤君と普通に会話できるくらいにはなったけれど、その実なにかが変わったようにも感じられなかった。
今まで経験してきた2月3日から2月7日までをなぞっただけ。
「もし、もし、だよ?」
里香が前置きをしてあたしを見つめる。
「江藤君の心残りが妹さんの死にあったら、どうなるの?」
「それは……」
あたしは返事に困って口ごもってしまった。
その可能性はとても高いと思う。
だけど、人の生死なんて操ることはできない。
事故や事件ならまだしも、真央ちゃんは病死だ。
余計に操ることのできない命だった。
「また、ループしちゃうのかな」
里香は窓の外に視線を移動させて、小さな声で呟いたのだった。