江藤くんはループしがち
「そっか。それでこの日に戻ってきちゃうんだ」
ぶつぶつと独り言を言っていると江藤君は自分の席へと歩き始めた。
慌ててその後を追いかける。
「誕生日ってことは、お祝いするの?」
椅子に座る江藤君に尚も話しかける。
「そりゃまぁ、少しは」
歯切れの悪い答え方にあたしは首をかしげた。
1度ループしたとき江藤君は真央ちゃんの誕生日を祝ってはいないはずだ。
あのときはあたしと里香が一緒にいたから間違いない。
「なにか悩みでもあるの?」
「なんか、今日の緑川さんは質問攻めだな」
江藤君は鞄から教科書やノートを取り出し、引き出しの中に入れていく。
「ごめんね。だけどどうしても聞きたくて」
ループの原因を突き止めないと前に進めないのだから仕方ない。
ループに気がついていなければ平気かもしれないが、1度気がついてしまうと平常心ではいられなくなる。
一刻も早くこの毎日から抜け出したいのだ。
「誕生日を祝ってやりたい気持ちはあるんだ。でもあいつ、ずっと入院してて友達が少ないだろ? それに院内だからあまり騒げないし。そんな中途半端なことをするくらいなら、家族の間だけで祝ってやるのがいいのかなって思ったりしてさ」
その言葉にようやく江藤君の気持ちが理解できた。
前回あたしと里香に真央ちゃんの誕生日だと伝えなかった理由も、ここにある。
ぶつぶつと独り言を言っていると江藤君は自分の席へと歩き始めた。
慌ててその後を追いかける。
「誕生日ってことは、お祝いするの?」
椅子に座る江藤君に尚も話しかける。
「そりゃまぁ、少しは」
歯切れの悪い答え方にあたしは首をかしげた。
1度ループしたとき江藤君は真央ちゃんの誕生日を祝ってはいないはずだ。
あのときはあたしと里香が一緒にいたから間違いない。
「なにか悩みでもあるの?」
「なんか、今日の緑川さんは質問攻めだな」
江藤君は鞄から教科書やノートを取り出し、引き出しの中に入れていく。
「ごめんね。だけどどうしても聞きたくて」
ループの原因を突き止めないと前に進めないのだから仕方ない。
ループに気がついていなければ平気かもしれないが、1度気がついてしまうと平常心ではいられなくなる。
一刻も早くこの毎日から抜け出したいのだ。
「誕生日を祝ってやりたい気持ちはあるんだ。でもあいつ、ずっと入院してて友達が少ないだろ? それに院内だからあまり騒げないし。そんな中途半端なことをするくらいなら、家族の間だけで祝ってやるのがいいのかなって思ったりしてさ」
その言葉にようやく江藤君の気持ちが理解できた。
前回あたしと里香に真央ちゃんの誕生日だと伝えなかった理由も、ここにある。