江藤くんはループしがち
「江藤君は、真央ちゃんの誕生日会をしてあげたいんだよね?」


「そりゃあ、可愛い妹だし」


そう言うときの江藤君の頬がほのかに赤らむ。


誕生日会をしてあげたい。


だけどできなかった。


これは江藤君の心残りなんじゃないだろうか?


「それなら、みんなでやろうよ! 院内でも、騒がなかったらいいんだよね?」


あたしの提案に江藤君は目を丸くしている。


「みんなでってなんだよ? 真央の友達は少ないって言っただろ?」


「だからさ、このクラスのみんなでって意味だよ!」


「は……」


江藤君は鳩が豆鉄砲でもくらったような顔になってしまった。


でも、あたしは本気だった。


真央ちゃんの命があと数日しかないと知っていたし、江藤君の心の残りもわかった。


それならやってあげるしか選択しはないと思う。


「さっそくみんなを誘ってくるから、江藤君は待っててね!」


あたしは張り切って席を立つ。


クラスメート総勢30名全員を誘うなら、早く行動しなきゃいけない。


「おい、ちょっと!」


江藤君があたしを呼び止める声も聞こえなくて、あたしはクラスメートに話しかけ始めたのだった。
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