江藤くんはループしがち
☆☆☆

「江藤君って妹さんがいたんだ!? 誕生会? いいよ、行く!」


「江藤の妹? え、入院中なんだ? そっかー。うん、もちろん行くよ」


みんな江藤君に妹がいるということに驚きながらも、賛同してくれる。


休憩時間になると誕生日パーティーの飾り付けを作るグループまで出てきていた。


そんな光景を見て江藤君は唖然とした表情を浮かべた。


「これ全部、真央のために……?」


折り紙で作ったわっかのチェーンに触れて呟く。


「そうだよ。料理部に入ってる子たちは昼休憩中にケーキを焼くって言ってた」


「なんで? だって俺、真央のことひとこともみんなに話してないのに」


「話してなくたってみんな一緒にお祝いした気持ちがあったんだよ」


江藤君は遠慮してみんなに言わなかったことだけど、みんなはこんなにすんなりと受け入れてくれる。


それを知ってか、江藤君の目には涙が浮かんでいた。


「ちょっと亜美、すごいじゃん!」


元気よく声をかけてきたのは里香だった。


里香にはすでに世界がループしていること、1度目でわかったことを説明していた。


そして今はもちろん、誕生会の準備を手伝ってくれている。


「あたしがすごいんじゃなくて、みんなが真央ちゃんに早く会いたいんだと思うよ」


それを証明するように、みんなの表情はとても生き生きとしている。


院内だから騒げないけど、見た目だけでもかなり華やかになりそうだ。
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