江藤くんはループしがち
「いいわねぇ真央ちゃんは、こんなに沢山の友達に囲まれて」


看護師さんは目に涙を浮かべて呟いた。


それは今まで真央ちゃんの近くにいたせいか、それとも真央ちゃんの死が近いと知っているからか、あたしにはわからなかった。


《亜美:準備終わったよ!》


外にいる江藤君へメッセージを送り、5人だけ病室に残って帰りを待った。


そして病室のドアが開いた瞬間あたしと里香、それに3人のクラスメートたちが同時に「真央ちゃん誕生日おめでとう!」と声をかけた。


突然のことに理解がついていかないのか、車椅子に乗った真央ちゃんは目を見開き、絶句してしまった。


「俺の友達だよ」


車椅子を病室内へと移動させながら江藤君が説明する。


「あ、えっと……」


真央ちゃんはそれでも驚きを隠せない様子で、病室の飾り付けに目をやった。


ベッドから一番見やすい場所に真央ちゃん誕生日おめでとう!と書いた横断幕が掲げられている。


それを見た真央ちゃんの頬が見る見るうちに赤らんできた。


「あ、ありがとう!」


感極まった様子で、口に手を当てて言う。


その目にはすでに涙が浮かんできていた。


「ベッドに移動しよう」


江藤君が真央ちゃんに声をかけ、華奢な体を支えながらベッドへと移る。


その間も真央ちゃんは病室の飾り付けに視線を向けて喜んでいた。
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