江藤くんはループしがち
☆☆☆

学校前に行く場所。


それは江藤君の家だった。


『明日、話がしたいんだ』


そう言われたのは昨日の放課後のことだった。


『話ってなに?』


『学校じゃ話せない。登校前に時間をくれないか?』


真剣な表情でそう言う江藤君は、NOと言わせぬ雰囲気を持っていた。


いったいなんの話があるのか検討もつかなかったけれど、2月9日になったということが嬉しくて、あたしは鼻歌交じりに江藤君の家を訪れた。


すると江藤君は道に出て待っていてくれた。


「こんな時間に呼び出してごめん」


「ううん、大丈夫だよ。それより話ってなに?」


聞くと、江藤君に促されて家の中へとお邪魔することになった。


通されたリビングには真央ちゃんの遺骨箱と遺影が飾られている。


その祭壇の前に江藤君は座った。


あたしは半歩後ろに座る。


「俺、真央が死んだら一緒に死のうと思ってたんだ」


それは衝撃的な告白だった。


あたしは江藤君の背中をジッと見つめる。


学校で見るよりもなんだか小さく見えた。
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