江藤くんはループしがち
☆☆☆
2月の空気はまだ冷たい。
あたしは緑のチェック柄のマフラーを巻いて学校への道のりを歩いていた。
学校へ近づくにつれて生徒たちの姿が増えていく。
みんな寒さから逃げるように足早に校舎の中に吸い込まれていく。
2年A組のドアを明けたとき、暖かな空気がフワリと包み込んできた。
教室中央に置かれているストーブが赤々と火をつけている。
「おはよ亜美」
いつもの調子で声をかけてきたのは里香だ。
しかし、里香の表情はどこか暗い。
「どうしたの?」
自分の席へ向かいながら聞くと、里香は黒板横に掲示されている時間割を指差した。
「今日の6時間目の体育が憂鬱でさぁ」
時間割を確認すると、確かに今日の6時間目は体育の授業になっている。
最後の授業が体育になっていることが面倒なんだろうか。
着替えをしたあと、すぐ掃除をしなきゃいけないし。
そんなことを考えていると、「持久走だって言ってたじゃん」と、里香が嘆く。
そういえば、前回の体育のときに先生がそんなことを言っていた気がする。
20分間でグラウンドを何週できるかタイムを計るという。
江藤くんのループを止めることに頭がいっぱいでつい忘れてしまっていたけれど、20分もグラウンドを走るという事実にめまいがした。
2月の空気はまだ冷たい。
あたしは緑のチェック柄のマフラーを巻いて学校への道のりを歩いていた。
学校へ近づくにつれて生徒たちの姿が増えていく。
みんな寒さから逃げるように足早に校舎の中に吸い込まれていく。
2年A組のドアを明けたとき、暖かな空気がフワリと包み込んできた。
教室中央に置かれているストーブが赤々と火をつけている。
「おはよ亜美」
いつもの調子で声をかけてきたのは里香だ。
しかし、里香の表情はどこか暗い。
「どうしたの?」
自分の席へ向かいながら聞くと、里香は黒板横に掲示されている時間割を指差した。
「今日の6時間目の体育が憂鬱でさぁ」
時間割を確認すると、確かに今日の6時間目は体育の授業になっている。
最後の授業が体育になっていることが面倒なんだろうか。
着替えをしたあと、すぐ掃除をしなきゃいけないし。
そんなことを考えていると、「持久走だって言ってたじゃん」と、里香が嘆く。
そういえば、前回の体育のときに先生がそんなことを言っていた気がする。
20分間でグラウンドを何週できるかタイムを計るという。
江藤くんのループを止めることに頭がいっぱいでつい忘れてしまっていたけれど、20分もグラウンドを走るという事実にめまいがした。