江藤くんはループしがち
☆☆☆

「また、持久走かぁ……」


更衣室であたしは盛大なため息を吐き出して言った。


みんなからすれば最初の持久走。


そしてこれが終わればまた来年まで持久走はない。


でもあたしにとってははや3度目の持久走になる。


「早いとこループの原因を見つけないとね」


隣で着替えながら里香が言う。


「わかってるけど、今回は本当に手がかりがないんだもん」


そう言って泣きそうになってしまう。


体操着へ着替える手も自然と止まってしまった。


もう走りたくないと全身が訴えてきているみたいだ。


「あたしはなんとなくわかった気がするなぁ」


天井を見上げながら里香がそんなことを言うので、あたしは目を見開いた。


「何がわかったの!?」


思わず里香の両腕を掴んで問いただす。


里香は痛そうに顔をしかめてあたしから手を離した。


「江藤くん、休憩時間のたびに生徒手帳を開いてたよ」


「え、そうだっけ?」


「そうだよ。あれだけ観察してたのに、気がつかなかったの?」


呆れたように言われて、言葉を失ってしまった。
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