江藤くんはループしがち
☆☆☆

どうしてこうもうまくいかないんだろう。


江藤くんに質問する時間はなく、終わりのホームルームが始まってしまっていた。


だいたい6時間目に体育なんがあるから、時間に余裕がないんだ。


と、今日の時間割を恨めしく感じる。


その時、トントンと指先があたしの机をノックした。


視線を向けると青ざめた江藤くんが、ブレザーの胸ポケットに指を入れている。


そこにはたしか生徒手帳が入っていたはずだ。


そう思って意識してみてみると、ポケットのふくらみがないことに気がついた。


もしかして生徒手帳をなくしたの?


ハッと思った次の瞬間、また空間がゆがんでいた。


江藤くんの泣きそうな顔もゆがむ。


先生の声もゆがむ。


そしてあたしはぼんやりと4度目の持久走をしなくちゃいけないのかと、考えていたのだった。
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