クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 話をしている間に会社の地下駐車場に到着した。

 運転手さんが、後部座席の扉を開けている間に、桃華はさっと助手席から降りた。

「では、社長、副社長失礼します」

 エレベーターの横にある階段を目指す。ちょうどその時、エレベーターから降りて来た藤堂に会う。

「おはようございます」と桃華は元気に挨拶をして通りすぎた。

「ああ、おはよう」

 返事しながらもイマイチ状況がわからなかった藤堂だったが、そのまま樹の元へ向かう。

 ちょうど樹が社長の車から降りてきた。珍しい光景に目を見開く。が、次の瞬間何となく理解できた優秀な秘書は、出てきた社長の手のギプスを見て納得した。

「おはようございます」

「おはよう」「藤堂くんおはよう」

「社長その手は?」

「ああ。骨折してしまってね」

「大丈夫ですか?」

「当分使わないように注意されてる」

「ご無理はなさらないで下さい」

「ああ、わかってるよ。心配掛けてすまないね」

「先程の相川さんとこの状況だと、皆さん芦屋の社長宅から?」

「ああ。桃華さんが心配して泊まり込んでくれると提案してくれてね。樹はオマケだよ」

「プッ」

「何だよ?雅紀何か言いたそうだな!」

「別に……。プッ」

 樹の事を理解している雅紀だ。可愛い奴と内心呟くのだった。

< 120 / 173 >

この作品をシェア

pagetop