クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 心配だが実家には連絡済みだ。

 とにかく、さっと挨拶して帰ろうと桃華は考えている。

 だが久しぶりの実家。そして、桃華を溺愛する父と兄。

 一筋縄では、いくわけがなかったのだ。

 社からは、高速に乗り京都のインターまでは一時間弱。夜は比較的空いている。そこから北に向かって車を走らせる。

 桃華が車で実家に帰ることはないが、窓の外には懐かしい景色が見える。

「樹さん、空いてましたね。あと10分くらいで着きます」

「ああ……」口数が少ない樹。

「どうかされましたか?」

「…緊張してる」「ええっ?」

「何だ?その驚きは」

「樹さんはいつも堂々としているので緊張が伝わりませんね」

「緊張するだろう……。もう既に同棲してるんだぞ」

「緊急事態で期間限定の同居ですけどね」

「俺はずっとでもいいんだぞ」

「…」

 途端に桃華の頬が真っ赤になる。

「俺の中では、同居じゃなく同棲だよ」

 言い直す樹に更に顔を赤くする桃華だった……。

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