クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 車を降りて改めて家を見ると、店と同じで京都の景観を壊さない昔ながらの建物だ。ただ、店同様に玄関からリフォームされたオシャレな造りになっている。

「自宅も洒落ているな」

「お店のリフォームをする時に、一緒に自宅もしたんです。将来兄が結婚してもいいように二世帯住宅にしたんです。だがら、もう私の部屋はなくなってしまって……。なのに、兄も全く相手が出来ないんですが……」

「…」

 何と返したらいいのかわからないが、ネットの写真で見る限りモテモテだろう。性格か他に何か問題があるのか悩む樹だったが、この後すぐに理由を理解する。

 桃華がインターホンを鳴らすと待ち構えていたように玄関の扉が開いた。

 そこから飛び出して来たのは……。

「桃華~会いたかった~」

 桃華に抱きつく若い男性。いや間違いなく兄。

「お兄ちゃん、恥ずかしいから離して」

 樹も思わず引き離そうと手が出掛けたが、グッと堪えた。

「だって、いつぶりだ?毎週帰って来いって連絡してるのに中々帰って来てくれない」

 抱き締めた桃華の頭に頬擦りする。

「……」

 あまりのシスコン振りに樹は唖然とする。



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