クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「飲み物入れて来るわね」母がキッチンに向かおうとした。

「あのっ」樹が声を掛ける。

「これ。つまらない物ですが」

「わぁ。何かしら?」

「すみません。和菓子屋さんと伺っていたので、何がいいのかわからなくて。うちの商品です」

 そう、樹が手土産に選んだのは、原田百貨店内の『ミキタニ』の限定の商品で、今は並んでも中々手に入らないクッキーの詰め合わせだ。

 味の美味しさはもちろん見た目の可愛さから、若い女性に大人気で原田百貨店では連日の大行列。朝から整理券が配られるほどの貴重な商品なのだ。

「うちの商品⁉️」父が声を上げる。

「はい。申し遅れました。(わたくし)三木谷樹と申します」と名刺を差し出した。

「三木谷製菓の副社長⁉️」

 父親は娘の相手が思っていたより大物で驚く。

「み、三木谷樹⁉️」隣では別の意味で驚いている兄がいた。

「はい」

「神西学院の三木谷樹か?」

「は、はい」

「お兄ちゃん知り合い?」

「俺は、京都成洛の相川葉月(あいかわはづき)だ。わからないか?」

「ええっ!」今度は樹が驚く。

「…あなた達知り合いなの?」と母が聞く。

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