クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
感じる嫉妬と勝ち取る信頼
 昨日の樹の口からの暴露があって、もう隠しても知れ渡っているだろうと今朝はホテルから会社までの徒歩五分の道のりを樹と桃華は一緒に歩く。

 桃華は噂話よりも、昨夜からの初めての夜を過ごした余韻の残る身体の方が心配だ。今日一日身体はもつだろうか……。

 隣の樹はというと、いつものクールな副社長様は何処にいったのか、鼻唄でも歌いそうなほどご機嫌だ。

 桃華は自分の身体とは思えない違和感と寝不足を感じながらも、普通を装い会社に向かう。

 会社が近づくにつれ、ミキタニの社員の姿があちらこちらに見られる。

 今まで副社長が徒歩で出勤する姿を見たことがない社員達は、樹の姿を見ると驚きの表情を浮かべる。

 その中に数人、桃華と樹をチラチラ見てこそこそ話をしている姿が見える。昨日の今日だが、一部にはもう伝わっている証拠だろう。

 樹はさっと周辺に視線を走らせ、悪意があるものがいないか確認する。

 桃華は、自分の身体の心配で精一杯。

 今のところ視線には気づいていないようだ。

 樹の近くを通る社員達は、挨拶をして通りすぎる。

 樹と桃華は挨拶を返す。その様子ですら注目を集める事となった。

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