クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 想定内の反応だが、実際に耳にすると悲しい。相手が誰であれきっと同じように文句を言うのだろうが……。

 きっとこれからも、こんな場面に出くわすに違いない。堂々と胸を張って、樹の隣に立てるような女性になりたいと思う桃華だった。

 お昼になり、絵理香と美奈と一緒に食堂に行った。ここでも、鋭く視線が突き刺さる。

「ふたりともごめんね。居心地わるいよね」謝る桃華。

「桃華が謝ることは何もないよ。悪いことしてないじゃない。こうなる事もわかってて作戦を立てたのは私だし、もし何かあったらすぐに言ってね」

「そうそう。モモちゃんは悪くない。絵理香ちゃんに副社長の方がモモちゃんにベタ惚れって聞いたよ」

「そんな事……」

「あるでしょ。私の中の副社長、最近はクールじゃなくなってる」

「ええっ!」

「まあ、私と室長しか変化には気づいてないけどね」

「副社長のイメージ壊してない?」

「寧ろ、今の方が人間らしくていいわよ」

「ならいいんだけど……」



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