クールな副社長の秘密～偶然知ったら溺愛されて妻になりました～

　定刻に始まった会議は、最悪の雰囲気の中、解決策がないまま十分ほど経った。

　その時『コンコン』と会議室にノックの音が響く。

　この雰囲気に耐えられなくなっていた会議室の面々の緊張感が、何者かのノックの音によって空気が緩んだ。

　みんな重い空気から、つかの間解放されそっと息を吐き出す。

「はい」

　副社長である樹の返事に、藤堂が会議室の扉を中から開けた。

　そこには……。

　桃華の姿。

　藤堂は目を見開く。更に後ろに人がいる。

「どうされましたか？」

　会議室に態々乗り込んで来るのだから、何かあるのだろうとわかっているが声を掛ける。

「はい。今回、催事に参加していただける方々に来ていただきました」

「……」驚きでとっさに言葉の出ない。

「藤堂、入ってもらいなさい」

　桃華に事前に知らされていた社長が冷静に声を掛ける。

「はい。どうぞ」と扉を大きく開けた。