クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「知ってるもなにも…京都一の和菓子屋さんじゃない」洋子の言葉に会場がどよめく。

 もう一人の男性は滋賀にお店を構える有名洋菓子店だ。こちらは、各地の原田百貨店に出店しているが、実は本店のみの商品が多数あるのだ。

 何より、あまり表舞台に出ることがない、伝説のパティシエだ。

 もちろん洋子も面識がある。

「あなたも、モモちゃんと繋がっているのね」洋子からは、驚きの声が上がった。

 無事に六種類の限定商品が揃った。

 会議室全体が安堵の表情に包まれた中、洋子の言葉が場の空気を引き締める。

「今回は、原田百貨店でも納得の出来る結果になりましたが、あってはならない初歩的なミス。そのミスを引き起こしたあなた達ふたりの態度をずっとみさせてもらっていました」

 ビクッとするふたり。

「あなた達、今回は相川さんのおかげで何とかなりましたが、本来なら会社の信用を失墜するほどのミスなのよ。賠償問題にも発展するほどの事態ですよ?それなのに、相川さんが会議室に入ってきた時から睨み付けるとは正気ですか?」

「「…」」

 洋子の一喝に泣き出すふたり。

 この日以降、桃華の事を悪く言う女性は会社内にいなくなった……。

 そしてこの催事は、原田百貨店の歴史の中でも、かつてないの集客と業績を誇り、連日テレビやSNSでも話題になり、伝説の催事となるのだった……。
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