クールな副社長の秘密～偶然知ったら溺愛されて妻になりました～

　その後、樹にエスコートされ結局エレベーターの前まで送ってもらった。

　受付からの視線が突き刺さる。

｢相川さん、くれぐれもよろしくお伝え下さいね｣

｢分かりました｣

　ここでも、共通の知人の話の設定なのだろう。副社長と鋭い視線の女性ふたりに見送られて最上階を後にした。

　部署に戻った桃華は、そこでも副社長に呼び出された理由をみんなに聞かれ、副社長が考えた設定のまま伝えた。

｢な～んだ。何かあったのかと思ってみんな心配したんだよ｣

　桃華を可愛がってくれている部署の先輩達から口々に囁かれた。

　桃華は内心、大変な事がありました！と叫んでいたのだが、もちろん誰にも伝わる事はなく、お昼を一緒に食べた絵理香にも言えるはずもなく、悶々とした1日を過ごしたのだった。

　絵理香は、受付にいた先輩達が桃華の事を話題に悪口を言っていたが、いつもの事だと聞き流した。桃華が気にすると思い敢えて話題にしなかった。

桃華からの報告を楽しみに……。