クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「桃華、デザートの続きを食べたらどうだ?」

 驚きばかりで手が止まり、まだまだ残っている。

「では、遠慮なくいただきます」

 桃華の中に残す選択肢はない。改めてホテルのディナーとデザートの美味しさに幸せに浸る。

 痩身で小柄な桃華のどこにそんなに入るのか不思議に思いながらも、気持ちのいい食べっぷりに樹まで嬉しくなる。

「桃華は、毎週日曜日は何をしている?」

「そうですね~土日は大概どこかのベーカリーショップに行ってます」

「お互いを知るためにも、日曜に俺の店を手伝ってもらえないか?」

「えっ?」

「正直、毎週こんなにお客さんが来てくれると思ってなかったんだ。ひとりで作って、作った分が余らなければいいなくらいの感覚だった」

「副社長は」と言ったタイミングでまた訂正された。

「樹」

「い、い、いつきさんは」

 男性経験ゼロの桃華にはハードルが高い。

「ん?」

「どうしてベーカリーショップを?」

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