クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「いいのか?」

「はい!ただバイト代はいりません。その代わり美味しいパンを賄いで食べさせて下さい。あと……」

「ん?」

「私にも作るのをお手伝いさせて下さい」

「桃華……。本当に今すぐに結婚したい……」

「それは保留です……」

「拒否じゃないだけマシと思っておくよ」

「ただ会社では今まで通り、副社長と一社員として接して下さいね。これが絶対条件です!」

「わかった……」

 桃華は、この短時間で会社のクールな副社長の姿ではなく、ベーカリーショップで愛情たっぷりのパンを焼く樹が本来の樹だと確信する。

 桃華の持論では、美味しいパンを焼く人に悪い人はいないと思っている。

 恋愛初心者の桃華には、樹のプロポーズは本気だと伝わっていないが、パンに対する想いは伝わった。

 樹は、今日の所はこれで充分だと思った。あとはこれから攻めるだけ。桃華が、ずっと気になっていたブロガーのモモだったことを知れただけでも大収穫だ。


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