クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 間違いなく彼女達だろう。

 わざわざ桃華の近くを通って、周りに聞こえる大きい声で嫌みを言う。

「あの子よ。何の特徴もない冴えない女子社員が、最上階に足を踏み入れるって何様かしら」

「ホントに。副社長に呼ばれたからって勘違いしてないわよね?」

「まさかぁ~」

 桃華に聞こえるようにクスクス笑いながら通り過ぎる。

「……」無言の桃華。

「返す言葉もないのかしら。身の程をわきまえてほしいわね」

 言いたい放題の秘書課の人達に、全く反応しない。

 実は、桃華は樹のベーカリーショップの事で頭がいっぱいで、全く聞いてなかったのだ。

 反応のない桃華に余計に苛立つ秘書課の面々。通り過ぎる時に、わざとぶつかって行く。

 突然の衝撃に驚いた。

「痛っ」

 衝撃の原因を見ると桃華を見てクスクス笑う秘書課の人達。

 副社長室に行った時から、嫌な予感しかしなかったので溜め息しか出ない……。

< 47 / 173 >

この作品をシェア

pagetop