クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「樹さん、美味しすぎます!」

「それは良かった。疲れただろ?」

「凄く楽しかったです。お客様の喜ぶ顔が見れて、私まで幸せをもらいました」

 初日で疲れているはずなのに全く感じさせない桃華に、樹は胸が熱くなる。

「桃華のお陰で今までより沢山のお客様に購入してもらえた。本当にありがとう」

「そんな、お礼を言われる程の事は……」

「そうだ。さっき親父に確認したら家にいるらしい。片付けが終わったら親父に会ってもらえないか?」

「ええっ」

 突然の事に驚く。樹の父親と言えば『ミキタニ』の社長様だ。

「ダメか?」樹は不安気な顔を見せる。

「ダメというか、私がお会いしてもいいのでしょうか?」

「桃華じゃなかったら会わせることはないよ。何度も言ってるが、すぐにでも結婚したい気持ちは本気だよ」

「…」

 激甘な樹に言葉も出ない。顔が真っ赤になるのを感じる。

「ホントに桃華は可愛いなぁ」

 対処の仕方がわからない桃華は、残りのランチを食べることに集中した。

< 72 / 173 >

この作品をシェア

pagetop