クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
「そう言えば、さっき原田夫婦が言ってたが、俺に見合いをさせようとしてたのか?」

「あっ、しまった」と焦る社長。

「どうしたんだよ?」

「レストランチェーンの三笠カンパニーってわかるか?」

「和食の三笠や最近ではカフェの経営もしてるよな?」

「和食レストランは原田百貨店にも入ってて安定はしてるが、カフェは何で参入したんだか……」

「で?その三笠がどうした?」

「三笠からしつこく、娘と樹の見合いをさせて欲しいと連絡があってな……」

「まさか」

「何度も断ったんだが、本当にしつこくて。しかもうちの秘書課で働いているらしく、一度でいいからと言われて。桃華さんの存在も知らなかったし……」段々と社長の声が小さくなる。

「はぁ?三笠?三笠……最悪だ」

「何がだ?」

「親父断ってくれ。秘書課の三笠って言ったら、ろくに仕事もせず何しに会社に来てるんだと悪い印象しかない。仕事が出来ないから、役員フロアの受付をさせてるんだが、苦情が多数きていて、藤堂に対処させようと思ってた所だ」

「あっ!」

「桃華どうした?」

「いえ。何でも……」

 樹のお見合い相手は、桃華に絡んできている受付のどちらかだろう。

「わかった。断りの連絡をしておくよ」

「頼んだ。親父、今日は桃華を送ってこのまま帰るよ」

「ああ。桃華さん、樹をよろしく頼みます」

「こちらこそ、お願いいたします」

 こうして、桃華と樹の父親である社長とは無事対面を果たした。

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