平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
以前から縁談話があがることを愚痴っていたので、彼女は察していたようだ。

「そうなの……今度は絶対にお見合いをさせようって決心がすごくてね」

「明日香は政治家を父に持つお嬢だからね。で、次の相手はもちろん三高よね?」

三高とは「高学歴」「高身長」「高収入」のことで、結婚するからには条件がいい相手を求める女性が多いのも否めない。

私も三高であることに異存はないけれど、やはり性格も重視したい。いくら好条件の人であっても結婚したらDVってことも。性格が合わなくて、夫の価値観を押し付けられるのも嫌だ。

「三高かわからないの。身上書と写真を渡されたんだけど、見ても無駄だから」

「それってもったいないかもよ? すっごくかっこよくて、三高だったら?」

「ひとみ、それでももったいないなんて思わないわ」

私は口を引き締めて、首を左右に振る。

「明日香には初恋の人がいるものね。よくも数回しか会ったことのない人を思い続けていられると感心しちゃうわ」

大きなため息をつき両腕を前に組んだひとみは呆れている。

今日の彼女は体のラインが出る真っ赤なツーピース。花金らしく華やかだ。反対に私と言えばフレンチスリーブの白いブラウスにグレーのAラインスカートで地味。

政治家の父の娘として清楚な服装を常日頃求められていた。

ひとみが言っているのは、兄達也の友人、円城寺真吾さんのことだ。
< 12 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop