平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
食事を済ませてあとは帰宅するだけだが、夕食は父と一緒に食べたくなくて困った。

だけど目的がなくふらふら時間を潰せない性分だ。

どうしようかな……。

多忙な父なので、もしかしたら夕食を自宅で食べないこともあると考え、私は歩道の隅に寄ってバッグから携帯電話を取り出した。

呼び出し音は五回ほどで母がよそ行きの声で出る。

『大山でございます』

「お母さん、明日香。お父さんの今日の夕食は? 自宅? それとも会食?」

『さっき会食になったと連絡があったわ』

私は母の言葉にホッと胸を撫で下ろした。

「わかった。あ、お母さんの大好きなモンブランを買ってから帰るね」

私の考えていることがわかった母は、電話の向こうでため息を漏らすのが聞こえてきた。

電話を切って、携帯電話をパタンと折りバッグにしまうと、気持ちが軽くなったせいか、私は意気揚々と大通りの一等地に店を構えているパン屋さんに向かった。
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