平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
明日から盆休みとあって、シャッターが空いた瞬間からいつもより来客者が多く、朝から椅子は満席になる。

「明日香、今夜は楽しみね」

隣の窓口に座るひとみが私の方へ顔を向けて親指を立てた。

「うん。ミスをしないようにしなきゃ」

私はにっこり笑みを浮かべて、カウンターの前へ立った年配の女性に「いらっしゃいませ」と明るく言って頭を下げた。

お客さまを待たせないようにをモットーに、今日も従事しよう。


今日はミスもなく、私とひとみは十八時に仕事を終わらせることができ、今は制服からワンピースに着替え、メイクと髪を直している。

私の髪型は朝と同じハーフアップで、黒ゴムからパーティーに備え華やかになるようにパールの髪飾りに替えた。

ひとみもワンピースだが、彼女のは体のラインが強調されたロイヤルブルーの膝丈のもの。

ひとみは身長が百六十五センチあるので、タイトな膝丈のスカートだと脚の長さが際立つ。自分がナイスバディだとわかっているのだろう。

ひとみと並ぶと、私はあか抜けないお嬢さま然とした面白みのない女性に思える。

だけど、彼女のような服を着たら父は怒るだろう。

心の中では服装くらいちょっと冒険してみたいと思っていたりする。
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