平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
三、一か八か、捨て身の私
パーティーから四日が経ち、明日から仕事だ。

今日の夕食は兄夫婦も先ほど北海道旅行から帰宅して、全員が揃った。

父はちょうどゴルフ目的で軽井沢へ行き、顔を合わせることがなかったけれど、今日の夕食はお見合いの話が出るのを覚悟してテーブルについた。

テーブルに並ぶのはお手伝いさんふたりが作った和食。

「お兄ちゃん、お義姉さん、北海道はどうだった?」

久美子が兄夫婦に話しかける。

「お前がそう聞いてくるのはお土産目的だろう?」

兄は天真爛漫な妹に、食べていた箸を止めて笑う。

「まあね。あ、でも本当に聞いているのよ? お母さんが行きたいって言っていたからお供しようかなって」

「お母さん、紅葉の時期に行ったらいいと思うよ」

「北海道の秋はあっという間だから、時期を選ぶのが大変そうね」

兄たちの話を聞きながら、私はなるべく父の気がこちらに向かないように口を閉ざしている。

「お姉ちゃんも一緒に行こうよ」

突然、私の気持ちも知らない久美子に話しかけられて、里芋の煮ものがポンと口から出そうになった。

「んっ……いいわね」

咀嚼してから頷く。

「明日香。旅行もいいが、そろそろ見合いの日取りを決めたいんだが?」

やはり父は見逃してくれなかった。
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