平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
心の中でため息をついてから口を開く。
「お父さん、まだお見合いはしたくないの。まだまだ働きたいの」
「そうしているうちに、売れ残ってしまうぞ?」
「売れ残ってもいいの。まだまだやりたいこともあるし」
「やりたいこととはなんなんだ?」
あー言ってもこう返される。議員である父の口のうまさに私が勝てるはずはない。上手く丸め込まれないように気持ちを引き締める。
「仕事は楽しいし、色々な国へ行ってみたいし、友達と気軽に食事をしたいの」
「私が勧める木下くんなら旅行へも連れて行ってくれるだろうし、友人との付き合いも制限しないだろう」
「お父さん、私はお見合いで結婚はしたくないの。お兄ちゃんたちはうまくいったけれど、性格が合わないことだってあるでしょう?」
私の反論に父は苦虫を嚙み潰したような顔になる。それでも意志は固いようで、「ちゃんと身上書と写真を見なさい」と言った。
私と父の攻防の最中、誰も意見を口にしなかった。ここでは父が絶対だから、下手に何か言って機嫌を損ねたくないのだろう。
話を長引かせたくないから、誰かに意見を言ってほしいわけではないが。
「まだリビングのテーブルにある。必ず部屋へ持って行ってよく見るんだ」
円城寺さんと女性の姿がまだ目の前にちらついていて、気持ちは落ち込むけど、すぐに結婚したくないのは本当だ。
この場を治めたくて、とりあえず私は頷いた。
「お父さん、まだお見合いはしたくないの。まだまだ働きたいの」
「そうしているうちに、売れ残ってしまうぞ?」
「売れ残ってもいいの。まだまだやりたいこともあるし」
「やりたいこととはなんなんだ?」
あー言ってもこう返される。議員である父の口のうまさに私が勝てるはずはない。上手く丸め込まれないように気持ちを引き締める。
「仕事は楽しいし、色々な国へ行ってみたいし、友達と気軽に食事をしたいの」
「私が勧める木下くんなら旅行へも連れて行ってくれるだろうし、友人との付き合いも制限しないだろう」
「お父さん、私はお見合いで結婚はしたくないの。お兄ちゃんたちはうまくいったけれど、性格が合わないことだってあるでしょう?」
私の反論に父は苦虫を嚙み潰したような顔になる。それでも意志は固いようで、「ちゃんと身上書と写真を見なさい」と言った。
私と父の攻防の最中、誰も意見を口にしなかった。ここでは父が絶対だから、下手に何か言って機嫌を損ねたくないのだろう。
話を長引かせたくないから、誰かに意見を言ってほしいわけではないが。
「まだリビングのテーブルにある。必ず部屋へ持って行ってよく見るんだ」
円城寺さんと女性の姿がまだ目の前にちらついていて、気持ちは落ち込むけど、すぐに結婚したくないのは本当だ。
この場を治めたくて、とりあえず私は頷いた。