平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
十六階にエレベーターが停まり、石原さんは円城寺さんにルームキーを差し出した。
その様子を見ている私に、ルームキーを手にした彼が降りるように促す。
女性慣れしている円城寺さんにはおどおどした態度よりも、落ち着いた雰囲気で冷静に話す方が好まれそうだと考え、深呼吸をひとつして平静さを装いエレベーターを出た。
彼は部屋の案内図には視線もくれずに深紅の絨毯を進んでいく。
ひとつの重厚な木製のドアを開けた。
「大山さん、どうぞ」
「失礼します」
まるで就職活動のときの面接官に断るみたいに固い声が私の口から出た。
驚くことに入室した部屋は私が今まで踏み入れたことのないラグジュアリーな空間だった。
ブラウン系の幾何学模様の絨毯の上に鎮座しているそれよりも濃い色の大きなソファ。
目の片隅には四、五人は寝られそうなベッドを捉えた。
話だけなのに、スイートルームを取るなんて……。
困惑している私に窓際に置かれたソファに座るように円城寺さんは言うと、ベッドとは反対側にあるバーカウンターに近づき、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを二本持って斜め前のひとり掛けのソファに腰を下ろした。
「酒がよければ持ってくるが?」
「い、いいえ。これでいいです。いただきます」
緊張で喉はカラカラだ。
私はペットボトルを手にして蓋を開けてゴクゴク水を喉に流し込んだ。
「それで話とは? 周りに聞かせたくないほど大事な話のようだが?」
その様子を見ている私に、ルームキーを手にした彼が降りるように促す。
女性慣れしている円城寺さんにはおどおどした態度よりも、落ち着いた雰囲気で冷静に話す方が好まれそうだと考え、深呼吸をひとつして平静さを装いエレベーターを出た。
彼は部屋の案内図には視線もくれずに深紅の絨毯を進んでいく。
ひとつの重厚な木製のドアを開けた。
「大山さん、どうぞ」
「失礼します」
まるで就職活動のときの面接官に断るみたいに固い声が私の口から出た。
驚くことに入室した部屋は私が今まで踏み入れたことのないラグジュアリーな空間だった。
ブラウン系の幾何学模様の絨毯の上に鎮座しているそれよりも濃い色の大きなソファ。
目の片隅には四、五人は寝られそうなベッドを捉えた。
話だけなのに、スイートルームを取るなんて……。
困惑している私に窓際に置かれたソファに座るように円城寺さんは言うと、ベッドとは反対側にあるバーカウンターに近づき、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを二本持って斜め前のひとり掛けのソファに腰を下ろした。
「酒がよければ持ってくるが?」
「い、いいえ。これでいいです。いただきます」
緊張で喉はカラカラだ。
私はペットボトルを手にして蓋を開けてゴクゴク水を喉に流し込んだ。
「それで話とは? 周りに聞かせたくないほど大事な話のようだが?」