魔法少女妖怪退治
「くろたん、早く良くなってね……」
「あ……。ありがと……」


水と食べ物を置く。


「くろたん。食べれそうだったら、ちょっとでも食べてね……」
「ありがとう……」


辛そうなくろたんに布団をかけると、寝息を立て始めた。

いつもの生意気なくろたんの姿は微塵も無い。

ただ疲れて眠っていた。


＿＿大丈夫。

1人でもやれる。


そう自分に言い聞かせると、指輪を握り締めてなりたい自分を思い浮かべる。


いつもの衣装に変身すると、両手でほっぺを叩いて気合いを入れた。


あやかの家の場所は知らない＿＿


でも、そんな時にはどうしたらいいいいかをくろたんが教えてくれたのをしっかりと覚えている。


軽く瞼を閉じると、妖怪の気配がする場所を探す。

感覚で分かる。


窓から、隣の家の屋根に飛び移ると怪しい場所に移動した。


屋根から屋根に飛び移る時に見える景色にももう慣れた。

凄まじい勢いで流れていく景色と体に感じる風の感覚が気持ちいい。


人を守る魔法少女。

そんなキャラクターに憧れていた時期もあったっけ。


何にも得意な事が無い私が魔法少女になれただなんて、夢みたいな話だ。


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