【Eater】人喰青年血染喉詩【EP0】
Episode0

人間とは多くの尊い命の犠牲の上で生きている。しかし我々は生態系の頂点に存在してきっとそんな事は忘れて過ごしている。喰われる事は無い。我々が王だ。
✳︎
苦しい。苦しい。苦しい。動けない。何も見えない。食われる。このままじゃ食われてしまう。
どうしてこうなった。どうしてこうなったんだ。分からない。思い出せない。何処かの部屋というのは分かる。縛られた手首。目隠しと猿轡。そして硬い椅子に縛れている。何が起きているのか思い出せない。苦しい。これから何が起きるんだろう想像もしたくない。
何となく奥の方から人の気配がする。ぺたぺたと足音が聞こえる。靴じゃない。
「ゔうう」
叫ぼうとしたが猿轡のせいで声が出ない。ヨダレが零れる。苦しい。ここはどこなんだ。
「少し細いな」
「すいません」
ひとりじゃない。二人いる。何者なんだ。気が狂いそうだ。
「君はいったい何者なんだ?ひとりじゃないよね、人間なのか?食べてもいい者なのかい?でも君からはいい香りがする。嗚呼食べてみたい」
「ハーフって言うやつらしいです、こういうのたまに生まれて来るらしいです、美味そうでしょ?」
「ゔゔ」
食べる?何を言ってるんだコイツらは?僕をまさか食べる気じゃないだろうな。とりあえずここから出たい。苦しい。
「これ外していいんじゃないか?」
「ああ、そうですね」
グッと目隠しが引っ張られそのままちぎられる。そこには知らない男が2人たっていた。
「ヴヴ!!」
まだ話すことは出来ない。
「いい目をしている。綺麗な目だ。そそられる。嗚呼!嗚呼!嗚呼!たっちまうよ」
なんだこいつらは人間じゃないのか?牙が見える。狂ってる。このままじゃやばい。殺される。どうにかしないと。力いっぱい椅子を揺らすが解けそうには無い。
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