【Eater】人喰青年血染喉詩【EP0】
目に映るのは駐車場と山と空。もう日は落ち始めていた。立ち止まっているとユイナが手を引く。
「こっち」
停まっているタクシーに向かう。ドアが開く。ユイナが乗り込む。続いて僕も。
「どちらまで?」
「一番近い駅までお願いします」
「かしこまりました」
タクシーが走り出す。
本当に脱走してしまった。まだ鼓動が落ち着かないのが分かる。医療費とかはどうなるのだろう。申し訳ない。
走り出した車内では沈黙が続く。ユイナは後続車を気にする。僕はその様子をただ見つめるしかなかったのだ。いったいこれからどうすればいいのだろうか大学や友人やバイト先はどうなっているのだろう。Eaterあいつらのせいで僕らの人生はめちゃめちゃだ。私は怪物になってしまったのだろうか、いやそんな筈はない、何の証拠があるんだ、僕は人間だ。ため息が零れる。
「大丈夫?」
「うん」
「つけられてる」
「え」
偶然だろうか後ろには黒のクラウンが私たちの後をつけている気がした。警察の関係者か、それとも怪物の仲間か、それは分からない。
「どうしよう?」
「たまたまって事は無い?」
こちらが右折すると後続車も右折してきた。偶然と願いたい。
「あ、すいません、あそこでいったん降ろしてもらっていいですか?」
「はい、かしこまりました」
大型のショッピングモールだ。確かにこの患者衣では目立ち過ぎる、それに後続車が止まるかも確認できる。
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