【Eater】人喰青年血染喉詩【EP0】
見た事の無い景色。ここは何処なんだろう。東京じゃないのか?記憶がない。最近どうも記憶が曖昧だ。スマホもないし財布もない。それがこんなに不便だとは思わなかった。はやく家に帰りたい。いやまずは医者いや警察か、だが今あったことを話したところで信じて貰えるだろうか。肩がとにかく痛い。どうやら血は止まってはいるようだがはやくどうにかしないといけない。

いったいどれくらい歩いたのだろう、何時間歩いたのだろう日もだいぶ傾いてきている。
でもようやく森を抜けたようだ。田畑が目に入る。見つからないが人の気配がする。
とりあえず電話を借りて彼女に電話をしなければ、どれくらいの日にちが立ったのか分からないがきっと心配しているだろう。いや待てよ、彼女の電話番号なんて分からないな、どうするか、彼女の職場にかけようか、迷惑をかけてしまうかも知れないが仕方ない。とりあえず今は人を探さなければ。
やっと遠くに人影が見える。軽トラと老人。助けを求めよう。いや不安になってきた。あれは本当に人間だろうか、噛み付かれた記憶がフラッシュバックする。額に脂汗が滲む。鼓動も徐々に早くなっている事に気付いた。
しかしこの状況を打開するには彼に頼るしか無い。傷が痛む。
「あ、あの、すいません、あ、あの」
老人は不思議そうな表情でこちらを見つめる。
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