【Eater】人喰青年血染喉詩【EP0】
「僕は、えっと、大学の講義の後、そう講義の後だ、何者かに眠らされ無理やり連れ去られて、どっかの施設にいたんです。そこで化け物に襲われて、肩を噛まれました。あの、信じてくれますか?本当なんです!」
「大丈夫、落ち着いて、その後は?」
「あ、えっと、そのあとは、えっと、あ、また、覚えてないです。気付いたらあの山の中にいました、自分でも何があったのか、でも、本当なんです!」
「大丈夫、落ち着いて、私にはその何者かの正体は解らないが、正直君の傷口は熊や野犬のそれとは一致しない。深堀はしないがもしかしたらそういった類のものなのかもしれない、まあ、安心して下さい傷の方は命に別状はありません。すぐに退院できるでしょう」
「あ、ありがとうございます」
「今日は何月何日か分かりますか?」
「えっと、6月9日?いや、どれくらいたったのだろう、すいません分かりません」
「今日は6月13日です」
「え、あ、そうなんですか」
「どなたとお住まいですか?ご家族はいらっしゃいますか?もしかしたら捜索届けが出されれるかもしれませんよ、連絡しますか?」
「あ、はい、お願いします」
携帯電話を渡された。彼女にかけようと思ったが電話番号が覚えていなかった。
「どうしたの?」
「いや、あの番号が分からなくって、勤め先の連絡先調べてもらってもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
スマホを渡された。最初からこっちを貸してくれればいいのにと思った。検索サイトで彼女の職場のホームページを開く。電話番号が記載されていたのでそこにかける。迷惑だろうか、だが緊急事態だ仕方ない。
< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop