貧乏国の悪役令嬢、金儲けに必死になってたら婚約破棄されました【短編】
「こらっ。笑うなんておねーさまに失礼だろうっ!」
エイト少年が、ドーンをぎっと睨みつける。
「僕のおねーさまに謝れっ!」
「大変、失礼をいたしました。リアーナ様。大丈夫ですよ。もともと俺……私は、坊ちゃんの家に雇われている護衛兵ですから。旅の護衛として新たにお金で雇われたわけではありません」
「そ、そうなの?」
ほっと胸をなでおろす。
いや、でもちょっと待って……。
「坊ちゃんって、えっと、エイト君の護衛とエイト君がそもそもなぜ、ここに?」
「ちょうど、僕も国内を見て回りたかったんだよ。そうしたら宰相が娘と一緒に回ってはどうかと言ってくれたから……」
ニコニコと少年が笑う。年齢は12歳くらいかな?私より1つ2つ下に見える。
国内を回りたい?旅行に行きたかったのかな?
私は金儲けできるものがないか探しに行くわけだし……観光地を巡るわけじゃないんだけど……。
◆
「あの、おねーさま、迷惑ですか?」
天使が小首をかしげて上目遣いで私を見た。
「め、迷惑じゃないけれど、その、あ、でも、楽しいかどうか分からないけれど、いいの?観光地もめぐる予定はないし、その、貧乏旅行だし……」
エイト君は護衛がつくくらいなんだから、そこそこいいお家の子供だろう。宰相である父が声をかけるくらいだ。
いくら国が貧しいとはいえ、領地があり、うまく商売をしている貴族はそれなりに豊かな生活をしている。
「ドーンと二人旅が、楽しいとおもいますか?」
エイト君がドーンさんを指さした。
「うっ」
はじめこそ礼儀正しくピシッとした印象だったけど、一人称「俺」が飛び出したし、私のこと腹を抱えて大笑いしたし、なんかちょっと背中丸めてびしっと立ってないし……。年齢は20代後半くらいかな。一緒に旅することを想像する。
もったいない……って言うたびにげらげら笑われそうだ。
思わず眉根が寄る。
「ちょ、ちょっと楽しいって、リアーナ嬢、俺、護衛としても優秀だけど、旅のお供としても優秀だよ。楽しいから」
「ぷっ。ふふふふっ。お嬢様、まぁいいじゃありませんか。旅は道ずれといいますし。護衛はいたほうが安心できます。それに、荷物持ちも必要ですよ」
サラがおかしそうに笑う。
サラは20代前半。私の乳母の娘で、もう小さなころから姉代わりに仲良くしてくれてる人だ。
「に、荷物持ち?!俺が?」
エイト少年が、ドーンをぎっと睨みつける。
「僕のおねーさまに謝れっ!」
「大変、失礼をいたしました。リアーナ様。大丈夫ですよ。もともと俺……私は、坊ちゃんの家に雇われている護衛兵ですから。旅の護衛として新たにお金で雇われたわけではありません」
「そ、そうなの?」
ほっと胸をなでおろす。
いや、でもちょっと待って……。
「坊ちゃんって、えっと、エイト君の護衛とエイト君がそもそもなぜ、ここに?」
「ちょうど、僕も国内を見て回りたかったんだよ。そうしたら宰相が娘と一緒に回ってはどうかと言ってくれたから……」
ニコニコと少年が笑う。年齢は12歳くらいかな?私より1つ2つ下に見える。
国内を回りたい?旅行に行きたかったのかな?
私は金儲けできるものがないか探しに行くわけだし……観光地を巡るわけじゃないんだけど……。
◆
「あの、おねーさま、迷惑ですか?」
天使が小首をかしげて上目遣いで私を見た。
「め、迷惑じゃないけれど、その、あ、でも、楽しいかどうか分からないけれど、いいの?観光地もめぐる予定はないし、その、貧乏旅行だし……」
エイト君は護衛がつくくらいなんだから、そこそこいいお家の子供だろう。宰相である父が声をかけるくらいだ。
いくら国が貧しいとはいえ、領地があり、うまく商売をしている貴族はそれなりに豊かな生活をしている。
「ドーンと二人旅が、楽しいとおもいますか?」
エイト君がドーンさんを指さした。
「うっ」
はじめこそ礼儀正しくピシッとした印象だったけど、一人称「俺」が飛び出したし、私のこと腹を抱えて大笑いしたし、なんかちょっと背中丸めてびしっと立ってないし……。年齢は20代後半くらいかな。一緒に旅することを想像する。
もったいない……って言うたびにげらげら笑われそうだ。
思わず眉根が寄る。
「ちょ、ちょっと楽しいって、リアーナ嬢、俺、護衛としても優秀だけど、旅のお供としても優秀だよ。楽しいから」
「ぷっ。ふふふふっ。お嬢様、まぁいいじゃありませんか。旅は道ずれといいますし。護衛はいたほうが安心できます。それに、荷物持ちも必要ですよ」
サラがおかしそうに笑う。
サラは20代前半。私の乳母の娘で、もう小さなころから姉代わりに仲良くしてくれてる人だ。
「に、荷物持ち?!俺が?」