カウントダウン
私はよく人前で忍に悪口を言っていた。


ブスとか陰キャとかキモいとか……。


ブスで陰キャなあいつを見ていると、モヤモヤしていじめたくなってくる。


いじめはいじめられる方も悪いと言われている典型的なタイプが杉田忍だ。


悪口を言われたくなければ、自分が変わればいい。


あんな暗い表情で誰とも話さず心を閉ざし、このクラスの誰とも関わりたくないっていう雰囲気を出されたら、誰だって嫌な気持ちになるはずなのだ。


だから私は忍をいじめたことを後悔なんてしていない。


私には私なりの正義があったのだ。


だけど、死んだ忍は今でも私を憎んでいる。


忍は呪いの力できっと私を殺しにくるんだ。


それも今日中に……。


そんなことを考えると、いつも見下していた忍なのに、私は忍に恐怖していた。


そして呪いへの不安は消えることなく、膨らんでいく一方だ。


忍なんてクラスの最底辺にいたはずなのに……。


私と対等に口もきけなかったはずなのに……。
< 101 / 294 >

この作品をシェア

pagetop