カウントダウン
(どうしよう……。

忍が本当に来るなんて……。

このままじゃ、殺される……。

どうにかしなくちゃ……)


静まり返った部屋の中で、私の心臓だけがドキドキと大きな音を立てていた。


今、このアパートにいるのは私一人で、誰にも助けは求められない。


きっともう少しで、雄太がここに来るはずなのに……。


私が泣きそうになりながらそんなことを考えていると、ドアの穴から伸びてきていた忍の手が静かに引っ込んでいき、少しだけほっとした次の瞬間、壊れたドアがゆっくりと開き始めた。


そして開ききったドアの向こう側にいる血まみれのセーラー服を着た忍を見たとき、私は恐ろしくてありったけの声で悲鳴を上げていた。


忍はそんな私の悲鳴を聞きながら、不気味にニコリと笑っていた。
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