カウントダウン
「フフフッ。

フフフッ。

ハハハハハハッ」


私の後ろから忍の笑い声が聞こえてきた。


教室の中では笑ったことなんてないくせに、忍は今、私の不幸を笑っているのだ。


早く歩くのを止めなくちゃ……。


早くしないと私は……。


「忍、助けて……。

今までのことは謝るから。

だから……」


私が忍にそう懇願すると、私の足は沸騰するお湯が入った鍋の前でようやく止まった。


私はようやく止まった足にほっとしながら、今の状況がまだよく理解できなくて、荒い息を吐きながら、沸騰するお湯が入った鍋を見つめていた。


(もしかして私は助かったの?

忍の呪いから逃れたの?)


自分が助かったことに確信が持てない私は、ドキドキと音を立てる心臓の音を聞きながら、早くこの場から忍が消えてくれることを願っていた。
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