カウントダウン
『復讐日記』第八章
【6月3日】

現実は嫌いだけど、物語は好きだ。


現実は残酷で理不尽で不公平だけど、物語には夢と希望がある。


現実の世界で私みたいな冴えない中学生はいつまでも不幸なままだけど、物語の世界ならば、私みたいな中学生でも幸せをつかむことができるから。


もしも私に物語を書く才能があったなら、私は私みたいな冴えない女の子を幸せにする物語を書きたい。


頑張れば目の前の世界が変わったり、強く願えば夢が叶ったり、努力すれば努力が報われる、そんな理想の世界を私は私の手で作りたいのだ。


そして私は自分が作り上げた大切な世界に没頭して、嫌な自分を忘れたい。


私はいつまでも、いつまでも、夢の世界で生きていたい。
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